とはいえパリのカフェの魅力はテラスだけではありません。実はほとんどのカフェには、テラスとは対照的な存在のカウンターが店の奥にあります。テラスが観光客やゆっくりしたい人向けであるのに対して、カウンターは主に常連客向け。値段も基本的にテラスや店内より安く設定されています。エスプレッソはカウンターならほぼ1ユーロ。どんなに豪華な造りの空間でも、カウンターに行けば130円程度でそこにいられるというのは贅沢なこと。カウンターは基本的に立ち飲みで、サッと朝食をとりたい時や、エスプレッソを流しこみたい時に立寄って、スッとお勘定し、あまり長居はしないもの。主人は常連客に挨拶すると何も言わずに「いつもの」飲み物をそっと出します。銅や亜鉛のどっしりしたカウンターに片肘をつき、グラス片手に店内の様子をそっと眺める。気軽に立ち寄れ、誰かに出会い、忙しい日常から自分をほんのひとときリセットできる、日常の中にそんな場がふんだんにあるというのが羨ましい限りです。